2011年5月24日火曜日

たまには本感想

とうわけで、本の感想を久しぶりに。
・・・年末以降、まったくやっていなかったんだねぇ。

いろいろ読んだけど、今回は数冊のみ。


▼「謎解きはディナーのあとで」東川篤哉
この本は今の「流行」らしい。
短編からなる一冊なので、話自体は一つずつが短い。
推理小説なので、事件が発生してそれを解決するのが話の本筋なのだが、それよりも個性的なキャラクターの立ち回りが本作の魅力であると思う。
ただ、影山の推理で宝生麗子が納得するところまでで話が一つ終了してしまうのが残念。せっかくだから事件が解決するまで、しっかり書いてくれればいいのに。推理を自慢げに話す麗子と、上司である風祭警部の反応も見てみたかった。
比較的にいって読みやすいので、初心者向けだと思う。そういった意味では、赤川次郎作品と並ぶ。


▼「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」
 「舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵」歌野晶午
シリーズもの二冊。
表題が示す通り、共に舞田ひとみが登場するのだが、といって主人公というわけではない。
一冊目は、浜倉中央署刑事である舞田歳三が、姪である舞田ひとみの何気ない一言をヒントに、捜査中の事件を解決するといったもの。
ひとみの着眼点が解決の糸口となるのだが、推理して事件を解決するのは、あくまで刑事の歳三である。
その優秀さは、二冊目で歳三が県警本部へ栄転していることからもわかる。
二冊目は、中学生である高梨愛美璃が、友人である舞田ひとみの推理で事件の真相を知るといったもの。
ここで、本格的に舞田ひとみの推理が光る。
二冊目の主人公は、ただ事件とひとみの捜査に流されていたにすぎない。愛美璃(打ちずらい名前だ!)の視点でひとみを描いているあたり、ワトソン役という感じが否めない。
注目すべき点は、小学生時代と中学生時代でひとみが鋭くなっている点だろうか。
推理が光る点で、ひとみに成長が見られる。


▼「スメラギガタリ~新皇復活篇~」宇野朴人
明治維新以降、陰陽師が政界に存在し続け、特殊な歴史をたどった現代日本(とはいえ20年以上前)を舞台に、若き陰陽師の戦いを描く。
敵は現体制に不満を持った陰陽師で、その犯行動機には同情の余地もあるものだったが、その不満を主人公自身も抱いており、敵はそのことを知らずに戦いを挑んだのだった。
事前に話し合える場があればねぇ。
陰陽師と言えば、あの安倍晴明がイメージとして浮かぶが、本作はその末裔が主人公。
平安時代同様、陰陽師は天皇家を守っている。その天皇家もしっかり描写されている(しかも主要人物の一人が皇族)あたりも注目である。これ、よく出版できたなぁ。
気になるのは、壮大な伏線(?)が一切回収されずに終わってしまったことだが、<続>と書かれているあたり次巻に続くとみて間違いないのだろう。
この作者、私と同じ1988年生まれらしいのだが、なぜ舞台設定を現代ではなくあえて生まれる前の1984年に据えたのだろう、という疑問もあるのだが、それも次巻でわかるだろうか?
次巻が楽しみである。

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